文系出身で特許・知財業界へ入られた藤本周一様のキャリア観

国内大学卒業後、米国フロリダへ留学。その後、特許調査・解析等を行う株式会社ネッ トスにて国際担当マネージャーとして活躍され、現在は株式会社ネットス代表取締役社長でいらっしゃる藤本周一様にご自身のキャリアや特許・知財業界で働いていくことについて伺いました。

藤本周一様写真rev2

 

特許・知財業界へ入ったきっかけと当時の状況

就職当時の特許・知財業界の状況

今、特許・知財業界に入って16年目ですけれども、私が就職する当時は特許・知財業界はそこまで脚光を浴びている業界ではありませんでした。ちょうど小泉純一郎首相の知的財産立国宣言等があり、知財が脚光を浴び始める直前で、そのころ特許知財業界に入ったので丁度ブームになりだしたところです。その後会社のメンバーが増えだして、世間一般的に特許・知財を仕事とする業界が認知されるようになったと感じます。今は若干、反動で飽和状態になっている現実はありますが、当時は知財の仕事が増えていった時代でした。

 

語学に興味がありフロリダへ留学

大学卒業後、アメリカのフロリダへ留学しました。留学する際にはまだ知財の仕事をしようと思っていたわけではなく、英語や語学に興味があっていきました。当時はまだ特許事務所に就職する考えはありませんでしたが、結果的に海外・グローバルシフトが進む中で英語は強力な武器になりました。特許・知財業界でも英語の読み書きはできても話せる人は少なく、海外の企業や特許事務所・調査会社と電話でやり取り、顔を合わせてミーティングする必要がある中で英語力は役立ちました。現在も年間約50ほどの海外からのお客様がくるので英語は役に立っています。これから知財に関わる人は英語は必須というか、できたほうが絶対良いと思います。

 

特許・知財業界に入ったきっかけ

父の影響が一番大きかったです。今は大学等でも知財を扱っているところが増えてきたり、学生の中にも特許や知財というものが浸透してきて新卒で知財・特許業界に来る人も増えてきたけれど、私の頃はそんな時代ではなかったです。

いきなり特許事務所などに入る人はほとんどおらず、企業の研究開発部門などへ行ってその中で特許というものに出会い、30歳位になって転職を考える際に特許・知財業界へ来る事が多かった。私の場合は当時としては特殊で、父が特許事務所をやっていてその業界について知っているというのがベースにありました。とはいっても弁理士や特許事務所という名称は知っているけれども実際に業務としてどんなことをやるのかはわかっていませんでした。

 

実際に特許・知財業界に入ってみて

今代表をやっている特許調査会社は、特許や意匠の文献をひたすら読み込んでいくという仕事です。特許の明細書というのは非常に読みにくく、もうなんじゃこりゃというか、今まで見たこともない内容・記載の文献ですごく衝撃を受けました。

ですので特許事務所や特許調査会社に入られるようなひとは事前に特許明細書を読んでおいたほうが良いと思います。実際に読んで普通の文章ではないんだということを把握しておかないと、入った後に苦労すると思います。

 

文系出身で特許・知財業界に入って

技術の点では深い専門性を持っておらず、そこはもう理工系出身で技術的なバックグラウンドのある人には敵いません。逆に自分が勝てるところをいかに探すかというところにかかってくると思います。私の場合は英語ができたということがあって、国際部門を創設し時代の流れにも沿っていたところがあって仕事が増えて売上や業績も上がっていきました。タイミングや運が良かったというのもあると思います。

今後、技術職ではない人が特許・知財業界に入るのであれば、特許事務所であれば意匠・商標関係をやるのがよいと思います。ただ、特許調査会社に入るのは技術のバックグラウンドがないとなかなか難しいです。全体的には特許・知財の業界は特許の比重が大きいので、技術のバックグラウンドがある方が望ましいです。そこは文系出身で特許業界に入った身としてはすごく感じるところです。

お客様からの依頼の内容も10年前と比べると、今のほうが難しいんです。技術内容も非常に難しくなってきており、例えばAIであったりとか通信技術であったり、技術の発達が著しく特許関係の業務の内容も難しくなってきています。さらに国際化が進んで英語も読めないといけない。知財権利化の依頼の数はそこまで変わらない中で難易度は上がってきています。一方で弁理士や特許技術者が増える中でコスト削減のプレッシャーも以前より増してきています。

なので、専門性があったほうが絶対に良いです。技術的な専門性や語学力が必要です。15年前であれば知財の法律面の知識があれば仕事ができた人もいたかもしれませんが今はそれは厳しいと思います。採用をする方もそうでないと採らないでしょう。我々も特許明細書の作成に関わる募集では理工系を必須としています。意匠・商標関係や翻訳などでは技術的なバックグラウンド無くともよいですが、その場合は突き抜けた語学などの武器があるよいと思います。

 

特許・知財業界でのキャリア

もともとは国内の特許調査から始めました。当時は手めくりといって、今の若い人はわからないかもしれませんが今のようにデータベースがまだ無く、特許文献が冊子になっているんですよ。関西の方では、今はもうなくなりましたけど関西特許情報センターというのが昔ありまして、そこが図書館のような感じで特許文献ばかりをいっぱい置いてました。これを調べる時にめくって必要な物をお客様に報告するという仕事をしていました。ですのでオフィスに居るのではなくて特許情報センターに張り付いていました。

その当時はほとんど外国の仕事もなかったので国内の特許を調べる仕事が中心でした。少しだけ特許事務所でも働きましたが出願の方でも外国の出願よりも日本の国内出願がほとんどでした。

4,5年経ってから特許調査会社で国際部を立ち上げました。それからは自分で手探り状態で海外の提携先を見つけていき、韓国やドイツの特許調査会社と業務提携をしたりしました。まだ当時はそういったことが珍しく新聞などでも取り上げてもらいました。ドイツなどヨーロッパ関係の特許調査の依頼なども増えてきていたのでドイツの特許調査会社と英文でレターをやり取りしながら連携して仕事を進めていました。

2010年位から韓国、中国、台湾などのアジア関係の特許調査業務が増えてきました。今度は中国の特許事務所などとも連携しながら業務を増やしてきました。

 

仕事をしていく中で苦労した点

外国人にこちらが意図していることを英語で伝えるのが難しく、今でも一番難しいところです。日本語でも難しい内容なので、それを英語のメールベースで伝えるのは難しいことが多々あります。あまり理解できない場合は電話でのやり取りが多くなり、そういう面でも英語が喋れるというのは大きなメリットでした。もし英語が話せなかったら、このビジネスを作っていくのは難しかったかもしれないです。

 

特許・知財業界で仕事をしていく中で大切にしていること

まずはお客様あっての商売なのでそのニーズをいかにキャッチできるかというところが大切ですよね。お客様も自分のニーズをはっきりと分からない状態で依頼されて来るケースや、中小企業のお客様も関西には多いのですが、なかには特許や知財についての知識が少ないケースもあります。

お客様に合わせて知識を補填したりですとか、知財に詳しいお客様に対しては専門家としてお客様の想定を超えるような提案をするとか、かゆいところに手が届くじゃないですけれど、そういったサービス強化というのを意識しています。なかなか難しいですが。ただそういったものの積み重ねで長くお付き合いいただいている企業様との間に信頼関係が芽生えており、非常にありがたいです。その御蔭で口コミなどで我々の評判が広がっていくので、そういう点でもお客様との信頼関係が大事ですね。単に仕事を下請け的にやっているというよりはお互いを信頼してやっていく仕事に魅力があるし、そこがないと面白く無いと思います。

私の父はもともと弁理士になった時、関西のある一つの企業の特許出願だけをしていた特許事務所に勤めていたんですね。そうするとやっぱり企業側から毎月これだけ出願してくれという、下請けというか完全な上下関係の業務になっていて、それだとやはり面白く無いということで独立しました。独立後、中小企業のお客様とのお仕事から始めたのですが、やはり中小企業のお客様だと知財のことがあまりわからないので、こちらから提案したりとか、説明したりとかすることになります。やはりそうして、お医者さんのように、こちらの専門知識を活かして対等に信頼関係を築いて仕事をしてくところが面白いと言っていました。

やれと言われてやればいい仕事もあると思いますが、やはりできることなら特許の専門家としての一言を添えてあげるというのが結構大切なことだと思いますね。我々のお客様からのコメントを見ても、やはりその点が評価されている部分でもあります。

 

知財業界の面白みとは

面白みといえば、技術の発展に貢献するということが一般的に言われると思いますが、それはそれとしてひとつあると思います。それ以上に、知財といっても、極論を言えば企業は特許がなくてもビジネスはできる中、知財を使って企業が何をできるのかを各企業に合わせた形で提案できることが面白いと思います。

いかにして知財によって企業にメリットを与えてあげられるかというのをクリエイティブする、考えていくところが一つの楽しみです。最近の例を挙げると知財ファンドなどの今までなかったような知的財産におけるサービスも増えてきています。それも企業にとってメリットが有るのであれば良いと思います。昔のように特許などの出願だけやっていればよいというのではなく、自分たちでお客様の企業にとってもメリットの有るサービスを提供できるというところが面白みじゃないでしょうか。

技術への好奇心や技術発展へ貢献したいという気持ちの人も多いと思います。私は文系出身ですし経営者という立場もありますので様々な新しいサービスを提供していきたいという気持ちもありますし、古い形にこだわらずに知財というものを活かして企業の経営であったり事業戦略にいかに貢献できるかというところが一つの面白みじゃないかと思います。

同じように考えている人たちが若い世代にも出てきていて、会計士で弁理士を持っている人もいますし、知財の解析業務に特化している人もおり、新しいサービスを提供していきたいという人たちが出てきています。そういうふうに知財を使って新しいことをしていこうというところも、今後の若い人たちにとっては面白いところじゃないかな。単に出願だけではなくて可能性は色々あるということは知っておいてもらいたいですね。もちろん出願もベースとしては必要ですが。

 

これから特許・知財業界へ入るひとたちへのメッセージ

やはり20代とミドルエイジでは違うと思うんですよね。

まず20代で知財業界を目指す人は、これから知財業界がどうなるかということを考えて欲しいと思います。最近は弁理士の資格をとっても特許事務所ではなくて企業の知財部に就職する人が多いですよね。というのもやはり、安定というのがひとつあると思います。特許事務所は最近不安定な所も多いので。

企業の知財部へ就職する人は、企業に入って何をするのか、何をしたいのかというところを自分なりに考えて就職して欲しいと思います。

一方特許事務所へ就職する人はある程度自分の仕事について考えている人が多くて、例えば国際業務をやりたいとか、ある分野で強くなりたいなどの希望を持っているんですよね。逆に言えば面接の時にそれを言えない人は私らもなかなか採用までできないところもありますし。やはり特許・知財業界に入るのであれば、専門性や何をしたいかというのをまず明確にしてもらいたいです。そして、その分野において日本で一番になるとか、世界で一番になるとかいうふうに目指して行ってもらいたいです。そのように専門性を磨くのが面白みだと思います。

ミドルエイジの人は、これまでの経験を上手に使って知財業界で活躍して欲しいです。特に研究開発をやってきた人たちは知財の知識がなくとも技術の知識があるわけですから、そこを本当にうまく使って頑張って欲しい。数年は大変だと思いますけれど、そこから知財と技術の知識や経験を使って活躍できる場を自分たちで見つけて欲しいと思います。

 

藤本周一様略歴

1999 年 関西大学経済学部卒業
2000 年 フロリダ工科大学留学
2001 年 株式会社ネットス入社
2011 年 株式会社ネットス 代表取締役社長に就任
2015 年 SUN・GROUP 副代表に就任

 

主な著作物

「他社に競り勝つ!本当に強い特許実務対応」(2016情報機構共著)

知財キャリアセンターからのコメント
特許調査会社株式会社ネットスの代表取締役であり、SUN・GROUP 副代表である藤本周一様にご自身のキャリアについて伺いました。
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