特許制度調和とグレースピリオド

「特許制度調和に関する国際シンポジウム」が7月10日に開催されました。このシンポジウムでは国ごとに制度の差が大きい4つの項目「グレースピリオド」、「18ヶ月全件公開」、「衝突する出願の取り扱い」及び「先使用権」について2013年に行われたユーザー調査及びラウンドテーブルのまとめに基づいた報告がなされました。ここではそのうちのグレースピリオドについての論点をご共有できればと思います。

 

グレースピリオドとは?

特許制度は先願主義をとっています。先願主義の基では出願の時を基準とするので、出願前に開示された発明は例え発明者自身によってか維持された場合も、出願時には原則として新規性を失っています。しかしこの原則は発明者の利益に反する場合があり、一定の期間に限って自己の開示によって新規性を否定されないという例外を認めています。この期間をグレースピリオドと呼びます。

現在グレースピリオドは日本/欧州では6ヶ月、アメリカでは12ヶ月が定められています。また、適用範囲についても各国の特許制度において相違があります。ちなみに日本では2011年の法改正でグレースピリオドの適用範囲が広がりました。

 

特許制度調和の必要性についての議論

グローバル化に伴い事業活動、研究活動を国際的に行うことは多くの企業や研究機関にとってあたりまえのこととなっています。知的財産の領域についてもひとつの発明について複数の国で特許を出願するケースが多くなっています。

このため国際的に特許審査の提出内容や手続き、審査基準を共通化することで出願人の負担を減らすと共に特許取得の予見性を向上させようという動きがあります。これを特許制度調和と呼びます。

2011年の米国発明法が成立し、最も大きな制度の違いであった先願主義と先発明主義の対立がが先願主義へ統一される流れに傾いたため特許制度調和へ向けた論議が特に主要先進国感で活発になっています。特に日本が関わるものとしては、日、米と欧州主要国(英、独、仏、デンマーク)の特許庁と欧州特許庁(EPO)からなる「テゲルンゼイグループ」での議論が進展しています。

 

日欧米での制度間差異

このテゲルンゼイグループでは主要な論点として制度の差が大きい4つの項目「グレースピリオド」、「18ヶ月全件公開」、「衝突する出願の取り扱い」及び「先使用権」を取り上げ議論が進んでいます。ここではこの内の「グレースピリオド」について取り上げます。

 

日欧米でのグレースピリオドの制度の違い

日欧米のグレースピリオドの制度について簡単に表にまとめます。

日本 欧州 米国
適用範囲 出願人本人による開示 制限なし 国際展覧会での開示 制限なし
第三者による開示 本人の意に反した開示本人の開示に起因する二次的な開示 濫用による開示 本人の意に反した開示本人の開示に起因する二次的な開示独立した発明による開示
期間  6ヶ月 6ヶ月 12ヶ月
起算日  出願日 出願日 出願日または優先日
適用申請  必要 必要 不要

 

 グレースピリオドの適用範囲拡大についての意見

テゲルンゼイグループの報告によるとグレースピリオドの適用範囲については下記のような意見が提出されているようです。

【適用対象の拡大に肯定的な意見】

  • 何らかの事情により特許出願前に発明が開示された場合の救済措置として必要。
  • 論文発表を先にしてしまうケースもあり、グレースピリオドがないと特許取得の機会が失われる。
  • 出願より先に発明を開示すると特許を取得できないということを知らずに、先に発明を開示した場合であっても、一定期間内であれば特許取得の機会が確保される。

【適用対象の拡大に否定的な意見】

  • 特許制度の予見性と法的安定性が損なわれてしまう。
  • 特許制度が複雑になる。出願人の手続負担が増える。
  • 出願人に、出願前に発明を開示してもよいとの間違ったメッセージを与える。

今回のシンポジウムでは、実質的にはグレースピリオド制度は良く利用されており適用範囲を拡大することで調和すべきという論調を感じました。

 

 



完全無料!専門コンサルタントによる無料サポート

業界未経験でも安心の
手厚いサポート

知財業界における効果的なアピールの仕方のアドバイスや、書類指導、面接対策などのサポートを、特許事務所や企業知財部に精通している専門のコンサルタントから受けられます。費用は一切かかりません。知財業界未経験の方や、転職が初めての方も安心してご利用いただけます。

[無料] 転職コンサルタントに相談する

未経験者からベテランまで
あなたに合わせた求人をご案内

「知財キャリアセンター」には公開されている求人だけではなく、非公開求人や「知財キャリアセンター」にだけ知らされている独自の求人など、特許事務所や企業知財部との強いコネクションを背景とした求人が数多くございます。その中からご希望やご経歴に合わせた求人をご紹介いたします。

[無料]非公開求人紹介に申し込む