未経験・経験者それぞれの弁理士の転職について

Facebook広告用画像3

現在他分野にてご活躍中で知財・特許業界未経験の方の弁理士へのキャリアチェンジ、及び既に知財特許業界でご活躍されている弁理士の方の転職、それぞれについてどういったところがポイントになるのか、実際の特許事務所や知財コンサル会社の採用担当者様とのやりとりの中で感じていることをまとめました。
弁理士実務未経験者の転職弁理士実務経験者の転職

未経験者の弁理士への転職について

現在、知的財産や特許分野の業務未経験で他分野にてご活躍の方が弁理士試験に挑戦して知財・特許業界へキャリアチェンジしようとした時にどういったところがポイントになるのか、実際の特許事務所や知財コンサル会社の採用担当者様とのやりとりの中で感じていることをまとめました。

 

未経験から弁理士へのキャリアチェンジが一般的

弁理士を始めとする知財・特許業界は、他業界に比べて新卒採用が極端に少ない業界です。特に特許事務所ではその傾向が顕著で、一部の特許事務所では新卒を全く採用しないところもあります。例えば弁理士合格者に占める学生の割合はわずか1.7%(平成25年)で、同じ士業でも弁護士とは全く違ったキャリア上の位置づけといえるでしょう。その辺りの事情については、こちらの記事でも多少触れています。

ですから、今違う業界にいて未経験ながら弁理士に転身するということ自体は一般的なことです。特に新しい人材を求めている特許事務所や特許管理会社にとっては採用ラインに乗る人材です。

とはいえ、未経験で弁理士試験に合格したり、未経験で知財・特許業界に興味のある方であれば誰でもいいというわけではもちろんありません。一体どういった点がポイントになってくるのかどうかを見て行きましょう。

 

知財・特許業界でのキャリアに対する想い

小泉元首相の知財立国の掛け声のもと行われた弁理士試験制度の改正により、弁理士試験の、特に知財・特許業界業務未経験者の合格数がここ10年非常に高くなっています(弁理士数10,000人を達成し、今後は合格数を絞っていくと思われますがこの辺りはまた別の記事でかければと思います)。このため、弁理士資格を持っている事自体の価値が以前に比べて相対的に低くなっています。

とりあえず資格を取ればそれでご飯が食べられるだろうという心持ちの方は、採用側にも伝わってしまうものです。そのような中途半端な気持ちでキャリアチェンジすることはお勧めいたしません。残念ながら弁理士資格を持っている事自体は収入には直結しません。しかし、弁理士資格を持った上で、質の良い明細書を書くスキルを身に付けることができれば生活に困ることはないでしょう。

弁理士の絶対数が増える一方で国内に限れば出願件数が漸減している中で、弁理士の2極化が進んでいます。何かひとつでも得意なポイントを伸ばし続ける弁理士と、とにかく単価の下がった目の前の業務を数こなしていく弁理士です。弁理士の仕事の成果物は公開公報として誰にでも閲覧可能で、見る人が見ればその出来の良さは一目瞭然です。成長し、良い成果物を出していかなければ特許事務所からも、企業からも、市場からも評価されません。成長を続けていくためにはモチベーションが必要です。

弁理士として、知財・特許の世界でどんな想いで仕事をやっていくのか、モチベーションを持って成長していく意思があるかをはっきり伝えることがスタートラインになります。

 

未経験弁理士の転職における年齢的な限界について

年齢に関しては、35歳未満という一つの目安があります。実際には次の項のそれまでの経験・経歴などなどによって多少前後はしますが、弁理士業務がひと通りできるようになるまでに最低1年、一人前の弁理士になるのに5年程度を見込んでいるところが多く、40歳前には、という意味で35歳未満というひとつの基準が目安となっています。

他の業界に比べて比較的高い年齢まで許容されているのは、そもそも知財・特許業界が他業種・他業界からのキャリアチェンジが一般的な業界だからです。とは言え、25歳から30歳くらいが最も弁理士として転身しやすい年齢帯になります。

これは、社会人経験3−5年くらいで弁理士へのキャリアチェンジを考え試験に挑戦した場合の年齢にあたります。

35歳を超えると、即戦力となる経験者が求められます。

 

知財・特許業界以前の経験・経歴について

多くの特許事務所で未経験者の採用時に希望される条件を次に挙げます。

  • 理系の大学・大学院
  • 3−5年の社会人経験(初めての転職が望ましい)
  • ビジネスレベルの英語(レターのやりとりができること)
  • 化学、機械、食品等々、メーカーでの研究開発経験
  • コンサルタントなど高度なコミュニケーション力が必要な職種の経験
  • 論理的思考、抽象化能力

全てに当てはまらないといけないわけではありません。もし弁理士資格をすでにとっていて、ある程度の英語力があれば多くの特許事務所では書類は通ると思います。その上で、これまでの経験・経歴から適切にアピールすることで未経験からの弁理士の転職が現実的になってくると思います。

 

実務経験のある弁理士の方の転職について

すでに知財・特許業界にてご活躍中の方が転職される際にどのようなところがポイントになるのか、実際の特許事務所や企業知財部、知財コンサル会社の採用担当者様とのやりとりの中で感じていることをまとめました。

 

経験とは転職後に行う業務の経験である

初めに確認しておきたいのは実務経験者として扱われる前提となる経験は転職後の業務の経験であるということです。

例えば、企業の知財部で開発部の発明者とのやり取りや外部の特許事務所への明細書作成の依頼を行っていたという方は、特許事務所への転職の際には実務経験者とはみなされません。多くの場合、特許事務所での業務は明細書作成・中間処理が中心であり前述の方は明細書作成の経験がないためです。この例のケースでは未経験者としての転職になります(もちろん未経験者という前提で企業知財部での経験は評価されます)。

一口に知財・特許業界の経験と言っても、転職を考えている先が求めている経験をしっかりと把握する必要があります。

 

特許事務所への転職の場合

特許事務所への実務経験者の転職では、まず特許事務所の求めている技術分野の経験があるか、というのがはじめのポイントとなります。昨今の技術の細分化・高度化はめざましく、少なくとも近い技術分野の素養がないと理解が難しい場合もあります。求められている分野での実務経験か、仮にピッタリの分野の経験がなくとも対応可能であることを示す必要があります。

分野が一致していることが確認されると次は能力・人柄の評価がポイントとなります。能力はこれまでに作成した特許明細書の内容と、それについてのインタビューから判断されることが多いです。また英語力が求められる場合には、英語の試験を行う特許事務所もあります。人柄については、事務所に馴染めるかどうか、クライアントとの面談などを任せられるかどうかといった点が面接や適性試験で評価されます。

上記で評価基準をクリアできれば残るは条件面のすり合わせです。どれだけのパフォーマンスを発揮できるか採用の段階では判断しきれないこともあり、一年目の報酬については控えめになる場合も多いです。評価基準や給与システムについてはよく確認しておくべきでしょう。

 

企業知財部への転職の場合

企業知財部への転職の場合はポジションによって求められる経験は様々です。知財の権利化を完全に社内で行っているところでは特許事務所と同じように明細書作成・中間処理の能力を問う場合もあります。マネージャー候補として管理能力が問われる場合もありますし、訴訟・渉外経験を求められる場合もあります。相手の求めている経験をしっかりと把握してアピールしていくことが非常に大切です。

共通して求められることとして挙げられるのは企業での勤務経験でしょうか。開発・研究の経験があるとなお良いです。開発・研究部門をはじめとする社内の他部門との協働が必ず必要になりますから、企業での勤務感覚があることは一つの前提になります。例えば新卒から特許事務所に入って活躍されてきた方が企業出身の方に比べて不利になる場合があることは否めません。

また、企業への転職の場合はその会社に対するロイヤリティを示していくことも大事です。企業で知財の仕事をしたいというだけではなくて、その会社で仕事をしたいということ伝えること。求められる能力があることに加えてこのことを伝えることができればご希望の転職に大きく近づくと思われます。

弁理士の求人はこちら|特許技術者の求人はこちら|無料転職サポートへの登録はこちら

知財キャリアセンターでは未経験者・経験者にかかわらず弁理士をはじめとした知財・特許業界の転職をサポートしています。ご自身のこれまでの経験や経歴をどのようにアピールするかなど、未経験者のキャリアチェンジに必要なアドバイスなどを無料で提供しています。無料転職サポートへの登録はこちらから
※求人状況等によってご紹介できない場合がございます。

 

関連記事

特許事務所の求人で求められること|弁理士・特許技術者編(1)

特許事務所の求人で求められること|弁理士・特許技術者編(2)


完全無料!専門コンサルタントによる無料サポート

業界未経験でも安心の
手厚いサポート

知財業界における効果的なアピールの仕方のアドバイスや、書類指導、面接対策などのサポートを、特許事務所や企業知財部に精通している専門のコンサルタントから受けられます。費用は一切かかりません。知財業界未経験の方や、転職が初めての方も安心してご利用いただけます。

[無料] 転職コンサルタントに相談する

未経験者からベテランまで
あなたに合わせた求人をご案内

「知財キャリアセンター」には公開されている求人だけではなく、非公開求人や「知財キャリアセンター」にだけ知らされている独自の求人など、特許事務所や企業知財部との強いコネクションを背景とした求人が数多くございます。その中からご希望やご経歴に合わせた求人をご紹介いたします。

[無料]非公開求人紹介に申し込む